遺伝子を効率よく改変するゲノム編集技術を使って東京都内の企業が開発したトマトが、国内初の「ゲノム編集食品」となる見通しとなった。厚生労働省の専門家会議が月内にも開かれ、初の審議を経て企業が国に販売・流通を届け出る。供給体制の整備などが必要なため、市場に流通するのは1~2年ほど先になるとみられる。
■厚労省、近く専門家会議
ゲノム編集トマトは、筑波大発のベンチャー企業「サナテックシード」が筑波大と共同で開発した。同社は、厚労省の助言を受けて必要なデータを集め、専門家会議に提出する。ほかにも複数の事業者が厚労省と準備を進めているが、十分なデータがそろったのは今回が初めてで、ゲノム編集食品の条件を満たしている可能性が高いという。
このトマトは、人間の血圧の上昇を抑える働きがある物質「GABA(ギャバ)」を豊富に含んでいるのが特徴。通常のトマトは、GABAの量を制限する遺伝子が働いているが、同社はこの遺伝子の一部をゲノム編集技術で壊し、GABAの量を増やした。
ゲノム編集技術で作った食品は、外部から別の遺伝子を導入したものと、特定の遺伝子を壊したものがある。厚労省は昨年10月、遺伝子を壊したものは従来の品種改良と差がないと判断し、ゲノム編集食品とする届け出制度を新設した。一方、別の遺伝子を導入した場合は既存の「遺伝子組み換え食品」と同じものとみなし、食品衛生法上の安全性の審査が必要になる。
0コメント