「冤罪[えんざい]で奪われた時間を取り戻すくらい、しっかり生きた」。死刑囚として国内で初めて再審無罪になった免田栄さんが5日、95歳で亡くなった。縁のあった人たちは、運命にほんろうされながらも力強く生きた免田さんをたたえた。
「息苦しい様子もなく、今にも起きてきそうだった」。妻の玉枝さん(84)は、免田さんの最期の様子を語った。
釈放後の1984年に結婚し、福岡県大牟田市で生活。「大牟田の人たちが受け入れてくれた。あんなに喜んでいたから人生を取り戻せたんじゃないかと思う」と玉枝さんは考えている。大好きなビールは亡くなるまでたしなんだという。
長年支援した元大牟田市職員の川上洋さん(78)は免田さんの誕生日だった11月4日、入所先の高齢者施設を訪ねてケーキと花束を差し入れた。亡くなる直前にも駆け付け、目を閉じたままの免田さんの手を握った。「失った時間を取り戻すかのように、精いっぱい人生を生きた人だった」
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